医療機器業界に参入しようとすると、必ず直面するのが「薬機法を誰に相談すべきか」という問題です。
一口に「薬機法コンサル」と言っても、その出自はさまざまで、
- PMDA出身者
- 第三者認証機関出身者
- 医療機器メーカー出身者
- 薬機法専門の行政書士・弁護士
など、バックグラウンドによって視点・得意分野・支援スタイルは大きく異なります。
本コラムでは、それぞれの特徴を整理したうえで比較検討します。
薬機法コンサルは「経歴」で選ぶべき理由
薬機法対応は、
- 法律の理解
- 規制当局の考え方
- 実務運用(開発・品質・市販後)
が複雑に絡み合う分野です。
そのため、「どこで何をしてきた人か」によって、アドバイスの方向性が大きく変わります。
タイプ① PMDA出身者の薬機法コンサル
特徴
医薬品医療機器総合機構
出身者は、
- 承認審査
- 相談対応
- 規制解釈
といった「行政側の視点」を熟知しています。
メリット
- 審査官の考え方を踏まえた助言ができる
- 承認・相談戦略に強い
- 当局とのコミュニケーションを意識した指摘が的確
デメリット
- 製造現場・品質運用の実態に詳しくない場合がある
- 中小企業のリソース制約への理解が薄いケースも
- コンサル費用が高額になりやすい
向いている企業
- 承認申請を控えている
- 高度管理医療機器を扱う
タイプ② 第三者認証機関出身の薬機法コンサル
特徴
ISO13485やQMS適合性調査を中心に、「審査される側」ではなく「審査する側」の経験を持ちます。
メリット
- QMS構築・文書整備に強い
- 認証・調査での指摘ポイントを熟知
- 形式的な不備を減らせる
デメリット
- 製品開発・事業判断には踏み込まないことが多い
- 承認戦略や事業全体設計は対象外になりがち
向いている企業
- ISO13485構築・更新が主目的
- QMS是正対応に困っている
タイプ③ 医療機器メーカー出身の薬機法コンサル
特徴
製造販売業者や製造業者で、
- 開発
- 薬事
- 品質
- 市販後
を実際に経験してきたタイプです。
メリット
- 現場目線での実務的な助言
- 社内調整・リソース配分を考慮できる
- 「理想論」ではなく「現実解」を提示できる
デメリット
- 法的手続きの代理権がない場合がある
- 個人の経験分野に知見が偏る可能性
向いている企業
- 初めて医療機器に参入する
- 社内に薬事担当者がいない
タイプ④ 薬機法専門の行政書士・弁護士
特徴
法令解釈や手続きの専門家として、
- 許認可申請
- 契約・責任分界
- 法的リスク整理
を担います。
メリット
- 申請・届出を正式に代理できる
- 法的根拠が明確
- 監査・行政対応での安心感
デメリット
- 医療機器の技術や現場実務には弱い場合がある
- 「書類は正しいが、運用が回らない」ケースも
向いている企業
- 許認可取得が主目的
- 法的リスク管理を重視したい
医療機器メーカー出身 × 行政書士という立ち位置
このタイプの特徴
私はこのポジションです。
この立ち位置は、
- メーカー実務を経験している
- 法的に申請代理が可能
という、2つの要素を併せ持ちます。
強み
- 現場を理解したうえで、制度設計ができる
- 「どう書くか」だけでなく「どう運用するか」まで考慮
- 中小企業の体制・人員を前提にした現実的支援
- 相談〜申請〜運用まで一貫対応が可能
留意点
- PMDA出身者ほどの審査官経験はない
- 特定分野(医療機器)に専門性を集中している
特に相性が良い企業
- これから医療機器業界に参入する中小企業
- 「薬機法が分からない」ことが参入障壁になっている企業
- 社内に薬事専任を置けない企業
結論:正解は「目的によって違う」
薬機法コンサルに絶対的な正解はありません。
重要なのは、
- 今、何に困っているのか
- どこまでを外部に任せたいのか
- 将来、社内で何を内製化したいのか
を明確にしたうえで、最適なバックグラウンドを選ぶことです。
おわりに
「薬機法が分からない」という理由で、医療機器事業を諦めてしまう企業は少なくありません。
しかし実際には、
- 適切な専門家と
- 適切な関わり方をすれば
“分からない”は十分に乗り越えられる課題です。
もし、
- どの専門家に相談すべきか迷っている
- 自社の状況に合う支援像が分からない
と感じている場合は、一度、現場と制度の両方の視点から整理してみることをおすすめします。

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