【医療機器関連事業者必読】行政処分を受けた実際の事例3選|あなたの会社は大丈夫?

QMS省令. ISO 13485, 薬機法, 医療機器 薬機法関連

医療機器の製造販売事業者にとって、「製造販売業許可」は事業継続の根幹です。しかし、その許可を持っていても、薬機法(医薬品医療機器等法)に違反すれば業務停止や業務改善命令などの行政処分を受けることがあります。

薬機法に違反すると、業務改善命令、業務停止命令、措置命令、許可・登録の取消といった行政処分を受けるおそれがあります。 Yakujihou処分を受ければ、事業への打撃はもちろん、社会的信頼も大きく損なわれます。

今回は、厚生労働省が公式に報道発表した3つの処分事例をご紹介します。


❶ 承認申請データを改ざんし、業務停止処分を受けたケース

【小林メディカル株式会社の事例/厚生労働省報道発表より】

厚生労働省は、小林メディカルが承認申請していた骨折治療用インプラント「コバメッド グラスピングシステム」の承認申請時の添付資料、および承認を取得していた「コバメッド ネイルシステム」の承認審査過程で提出された資料において、「繰り返し疲労試験」のデータが改ざんされていたことを確認しました。 Ikuseikai

これを受け、厚生労働省は2011年7月27日、薬事法違反により、小林メディカルに対して第一種医療機器製造販売業についての7月28日から8月6日までの10日間の業務停止処分を行いました。 Yakujihou-marketing

【ポイント】 承認申請に必要な試験データを改ざんするという行為は、医療機器の安全性・有効性を偽るものであり、薬機法上もっとも重大な違反の一つです。骨折治療に使用するインプラントは患者の体内に入る器具であり、強度データの信頼性は患者の命に直結します。「審査を通しやすくしたい」という動機が引き起こした結果が業務停止処分であり、会社の信頼失墜につながりました。


❷ 不具合の報告義務を怠り、業務改善命令を受けたケース

【日本メドトロニック株式会社の事例/厚生労働省報道発表より】

日本メドトロニック株式会社が製造販売する医療機器「インスリンポンプ 注入セット」について、副作用等報告義務の対象となる外国医療機器の不具合症例が定められた期限内に報告されていなかったことが確認されました。 Ministry of Health, Labour and Welfare

厚生労働省医薬局は令和6年11月8日、日本メドトロニックに対し、副作用等報告義務の対象となる外国医療機器の不具合症例の報告を期限内に行わなかったとして業務改善命令を行いました。報告が行われなかった不具合症例は1,783件にのぼりました。 Mixonline

【ポイント】 インスリンポンプは糖尿病患者が24時間使用し続ける重要な医療機器です。不具合が生じた場合の報告は、患者の安全を守るための最重要義務です。「外国の情報だから」「大した不具合ではない」という甘い判断が、1,783件もの報告漏れを生み、行政処分へと至りました。医薬品等の安全管理や品質管理の方法が薬機法で定められた基準に適合していない場合、製造販売業は業務改善命令を受ける可能性があります。 Yakujihou社内の報告体制が機能しているかを定期的に確認することが不可欠です。


❸ 製造管理・品質管理の基準違反が繰り返され、承認取消と業務改善命令を受けたケース

【小林化工株式会社の事例/厚生労働省報道発表より】

医薬品メーカーの小林化工株式会社(福井県)では、総括製造販売責任者は、同社工場で製造する製品について、承認書と製造実態が異なる事実を認識していたにもかかわらず、品質管理業務を適切に行わず、また必要な措置を講ずるよう製造販売業者に対し意見を述べなかった Ministry of Health, Labour and Welfareことが判明しました。これを受け、厚生労働省は承認取消および業務改善命令の行政処分を行いました。 Ministry of Health, Labour and Welfare

福井県が行った行政処分は、関係法令を遵守する意識が欠如した業務体制を早期に是正させること、長期間にわたる法違反行為等への処分として実施されたものでした。 Ministry of Health, Labour and Welfareなお、この事案を契機に、厚生労働省は業務停止命令等取扱規則を新たに制定し、業務停止日数の上限を110日から180日へと引き上げるとともに、許可・登録の取り消しに関する判断基準を明確化しました。 Yakuyomi

【ポイント】 「承認書と異なることを知りながら放置した」という点が、この事案の最大の問題です。責任ある立場の者が違反を認識していながら是正しなかったことで、行政処分の規模が大きくなり、さらに国全体のルール改正にまで発展しました。一社の不祥事が、業界全体の規制強化につながった典型例です。


3事例に共通する「危険なパターン」

今回ご紹介した3事例から、医療機器事業者が特に注意すべきリスクが浮かび上がります。

①申請・報告に関するリスク——承認申請資料のデータ改ざん、不具合報告の遅延・漏れ。いずれも「患者に正確な情報が届かない」という点で共通しています。

②内部管理体制のリスク——責任者が問題を認識しながら是正しない、報告フローが機能していないなど、組織の内側に潜む構造的な問題です。

③「大丈夫だろう」という過信のリスク——不具合の深刻さを軽く見る、外国の情報は後回しにするなど、日常的な判断の積み重ねが重大な違反につながります。

許可・登録の取り消しを行う場合の判断基準として、違反行為の重大性に加え、過去に業務停止命令等の処分を受けたことがあるか、違反行為により保健衛生上の著しい危害が発生しているか、業務停止その他の行政処分で改善が見込めないと考えられるかが審査されます。 Yakuyomi

薬機法の要件は複雑であり、専門的な知識が求められます。自社の体制に少しでも不安がある場合は、ぜひ当事務所へご相談ください。

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