QMS省令の歴史と実務的意義

QMS省令. ISO 13485, 薬機法, 医療機器 コラム

QMS省令の歴史

医療機器を製造、販売、修理、貸与したい場合、薬機法を確認することはもちろんですが、QMS省令に適合する必要もあります。
QMS省令を一言で表すと「医療機器の安全・有効性を確保するための製造・品質管理ルール」です。以下に、QMS省令にまつわる歴史を紹介するとともに、本規制の特徴を見ていきましょう。

  1. 旧制度(1990年代以前)
    それ以前は、医療機器の製造・販売は 薬事法(現:医薬品医療機器等法) に基づき管理されていました。品質管理の規定はありましたが、明文化・統一された基準は限定的でした。個別メーカーの自主基準に依存する部分が大きかったことが特徴です。
  2. 1990年代:医療機器製造管理省令の制定
    1995年ごろ、医療機器製造管理及び品質管理のルールを省令として明文化されました。これにより、医療機器メーカーは製造・品質管理の体系的遵守が義務となりました。
  3. 2000年代:GMP/QMSの国際標準化
    ISO 13485(医療機器の品質マネジメントシステム)に基づく管理が導入されました。日本でも QMS省令とISO13485の整合性 を意識した改正が進んでいきます。
  4. 2005年以降:現行QMS省令の整備
    「医療機器の製造管理及び品質管理に関する省令」として体系化されました。製造販売業・修理業・輸入業者の品質管理責任と体制が明確化され、PMDA(医薬品医療機器総合機構)による監査制度も整備されました。
  5. 最近の動向(2010年代以降)
    ISO 13485やEU規制(MDR)との整合性が強化されています。高度医療機器や再生医療等製品の品質管理も省令に基づく管理が義務化され、電子記録やトレーサビリティなど、IT対応も強化されています。

ここまでお読みになった方なら、ある点に気づかれたかもしれません。

実は、QMS省令とは純粋に日本国が主導して作った法規制ではありません。その源流は、国際標準化団体(ISO)が作成した ISO 13485 にあります。日本の省令は、この国際規格をベースに、国内向けに法的拘束力を持たせたものなのです。

ですから、条文の設計思想や表現には、国際的な「リスク管理重視」の考え方が色濃く反映されています。キリスト教圏にルーツを持つISOの価値観には、いわゆる 性悪説的 な視点が含まれており、「人はミスをするもの」「誰かが手を抜く可能性がある」という前提で規定されています。

そのため、日本人の感覚で読むと、少し違和感を覚える条文や運用ルールもあるかもしれません。例えば、「何をどのように記録しなければならないか」「誰がどこまで責任を負うのか」といった部分に、過剰とも思えるチェックや手順が規定されていることがあります。

QMS省令から学べること

この「性悪説的」アプローチには、深い意味があります。医療機器は人の生命に直接関わる製品であり、どんなに経験豊富な人でもミスは起こるという前提で作られた規制だからです。規制通りに管理することで、トラブルを未然に防ぎ、安全性を守ることができるのです。
(見方を変えれば、トラブルやミスは絶対起こるので、その被害を最小限に抑える規制だと私は考えます)

また、ISO 13485に準拠することで、海外市場でも通用する品質管理体制を整えることができます。
つまり、違和感を覚えつつも、この規則を理解し実践することは、国内だけでなく国際的な信頼を得るためにも重要なのです。

QMS省令は一見すると複雑で「やっかいな規則」に見えるかもしれません。しかし、理解し運用することで、単に法令遵守にとどまらず、

  • 安全性の確保
  • 国際的な信頼
  • 社内効率化
  • トラブル対応力
  • 経営上の安心感
  • 参入障壁の高さによる優位性確保

といった多くのメリットを手に入れることができます。つまり、QMS省令を正しく理解することは、事業を成長させるための圧倒的な武器になるのです。

QMS省令のまとめ

医療機器の安全・有効性を守る規制

  • QMS省令は製造・品質管理のルールを明文化したもので、トラブルやミスを未然に防ぐ仕組みが組み込まれている。

国際標準との整合性

  • ISO 13485をベースにしており、国内外で通用する品質管理体制を構築できる。

経営・実務上のメリット

  • 法令遵守だけでなく、安全性向上、社内効率化、信頼性確保、競争優位性の獲得など、事業成長に直結する利点がある。

よくある質問

Q
QMS省令はISO 13485と同じものですか?
A

完全に同じではありません。
QMS省令はISO 13485をベースに作られていますが、日本の法令として法的拘束力を持たせるために独自の要件や表現が追加されています。
ISO 13485に準拠することで国際的にも通用する品質管理体制を作れますが、国内法としての義務を満たすにはQMS省令の規定に沿う必要があります。

Q
2000年代にQMS省令がISO 13485に沿って改正された理由は?
A

国際的な品質マネジメント基準に準拠することで、海外市場でも通用する体制を整えるためです。
ISO 13485に準拠することで、海外の規制対応や輸出が容易になります。そのため、日本の省令も国際標準と整合性を持たせる形で改正されました。

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